特集 アクティブ・ラーニングを取り入れた学びとは?

アクティブ・ラーニングのWhy, What, Howに答える

アクティブ・ラーニングのWhy, What, Howに答える
アクティブ・ラーニングのWhy, What, Howに答える

アクティブ・ラーニング 小学校でできること

 変化の激しい今日,そして未来の社会を生きる子どもたちにとっては,ただ単に「知っている」「解き方が分かっている問題を正解できる」だけでなく,自ら問いを立て,その答えのない問いに時に他者と協力しながら取り組む力が必要になります。そのためには,何を学ぶかに加えて「どのように学ぶか」の経験が重要で,アクティブ・ラーニングはそのための学習・指導の方法です。

 アクティブ・ラーニングという新しい用語が入ってきて,不安を感じられる先生もおられるかもしれません。しかし,知識の伝授に終わるのではなく,児童自らが考え,協力しながら何かを調べたり,達成したりするような取り組みは,これまでも諸教科や総合的な学習の時間の中で実践されてこられたものと思います。そのような学び方を全教科を通して,より一層進めていくことを目指して,今,アクティブ・ラーニングという名称をもって再度強調されるに至っているのです。したがって,アクティブ・ラーニングを突然降って湧いた新しいものと恐れる必要はなく,「児童が主体的に,他者と協力しながら課題の解決に挑戦できる力や意欲を育てる」ための学習・指導を考えることが,アクティブ・ラーニングにつながるのです。逆に,アクティブ・ラーニングの表面的なイメージで,ペアやグループで活動をさせていればアクティブだといった,形式だけの誤解に陥らないことが大切です。例えば,丸暗記の英語表現を使ってペアで練習をする場面や,リスニングのためにグループでカルタとりをする場面は,アクティブに見えても思考や探究を要さない点でアクティブ・ラーニングとは呼べないでしょう。

 これまでの外国語活動でも,英語で話されることの大事な部分を児童が要点だけでも理解しようとする場面はあったと思います。それを「なんとなくのリスニング」で終わらせるのではなく,例えばグループの各メンバーが異なる先生の情報をリスニングし,わかった内容をもとに「野球が好きな先生」や「きょうだいが一番多い先生」といった情報を班内で協議しながら見つけ出すようなジグソー型の学習にすることもできるでしょう。

 まずはひとつの単元で思考や協働を伴う活動を取り入れてみて,そこでの手ごたえや反省をもとに,徐々に他の内容でもアクティブ・ラーニングを展開していかれるとよいと思います。

 

ことばの学びをお手伝い

教科書出版部長 富岡次男

 小学校の英語の授業を拝見して驚くのは,小学生がことばを学ぶ力はすばらしいということです。とかく,おとなは英語を「教える」というスタンスをとりがちですが,実はことばへの触れ方,出会い方次第で,子どもたちは自ら「気づき」,自分で「学ぶ」ことも多いと感じます。したがって,与える教材は子どもたちのことばの学びに大きく影響してきます。編集者としては,その怖さに身がすくむ思いですが,逆に,それらのお手伝いができるおもしろさ,意義深さもあると前向きに考えつつ,よきことばの使い手を育てる英語教育とは何かを,先生がたとともに考えていきたいと思います。