フーンコラム 第2回 後関正明

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こんな物でも立派な教材 その1

アメリカで拾ってきた紅茶の空き箱

 先日ある研修会でこんな意見が出ました。

−教科書で学習する言語材料を繰り返し、しかも効果的に学習させるにはどんな方法をとったらよいでしょうか。どうもマンネリになりがちで、いまいち生徒が乗ってこないのですが……。

−−そうですね。既習言語材料はどんどん使うことによって、つまり何度も繰り返すことによって身につくものですね。そこで教科書を中心にしながらも教科書ガイドや教科書準拠のプリント、または文法項目別のプリントや自作プリントなどを駆使しながら定着を図るわけです。でもおっしゃるようにマンネリになりがちなので、いろいろと配慮が必要になってきますね。

−ではどうすればよいのでしょうか。

−−私は『投げ込み教材』をよく活用しました。『投げ込み教材』とは読んで字のごとしで授業の合間にふいに生徒たちに教科書にない新しい教材を提示するのです。生徒たちはびっくりして好奇の目で教材を眺めます。
 例えば「現在完了形」を例に挙げると、新出時に習ってから適当な時期を見計らって、つまり忘れた頃に次のような例文を与えて読ませるのです。

In the years since we blended our first teas in an old Victorian house in Portland, Oregon, our style hasn’t changed.

 何のことはないこれは紅茶の箱に印刷されている宣伝文の一部です。私が生徒のホームステイ先のリビングルームで拾って持ち帰ったものです。ホストマザーは「そんなもの何するの?」と不思議そうな顔をしていましたが...。
  さりげなく「現在完了形」が使われていることに生徒はまずびっくりし、そのあと「なーるほど、身近かにあるもんだなー」と感心し、少し練習して定着させていくという寸法です。

−理屈はよく分かりますが、週3という枠の中ではどうでしょうか。その時間をどうやって捻出するのかちょっと…。

−−それはね、時間を取り過ぎるからダメなんです。5分から10分ぐらいの間でさっと切り上げるのがコツで、あとは宿題にしてもいいのです。突然、変わった教材が目の前に出てくるとハッとして集中力が戻ってくるのですね。そこで英語に対する「関心・意欲・態度」が再燃し、何とか持続させることができる……と思うのですがいかがでしょうか。

−そううまくいけばいいのですが、そのために普段どんなことに気をつければいいんですか。

−−『投げ込み教材』はどこにでも転がっています。要は何か使えるものがないかな−と年中頭の中で心掛けておく必要があります。英字新聞とか雑誌などを拾い読みをしている最中に見つかることもあります。
 次回またお見せしますが、ガムの包み紙に何と「関係代名詞」を含むPRの文が載っているんですよ。そのほか、先程のホームステイ先の家に散らかっていたスーパーのチラシなど、役に立つものがたくさんあります。日本にいても同じです。身辺を探してみて下さい。「うん、これは使えるぞ!」 「これはちょっと無理かな?でも、できる連中にはチャレンジさせてもいいかな?」などなど考えるだけでも楽しくなるでしょ!!!

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

フ〜ンコラム バックナンバー (第1回〜)

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