フーンコラム 第5回 後関正明

1つ前のページへ

朗読のテープづくり

 外国語を通じて,言語や文化に対する理解を深め,積極的にコミュニケ−ションを図ろうとする態度の育成を図り,聞くことや話すことなどの実践的コミュニケ−ション能力の基礎を養う。

或る老骨−− これはいうまでもなく新学習指導要領の外国語科の目標です。先生方はこの2年間,コミュニケ−ション活動や絶対評価の実施に関してかなりの精力を費やしてこられました。特に「聞く」「話す」に重点をおいた授業の実践に腐心されてきました。それはそれで結構なのですが,どうも「読む」「書く」が少し疎かにされてきたように思えるのですがどうでしょう。

或る若い先生−− それはそうかも知れません。でもそう言われても週3時間の現状では無理ですよ。だって実践的コミュニケ−ションの指導をする時は言語の使用場面だとか,言語の働きの例などを参考にしながら授業を組み立てなければならないし,それに評価でしょう? とても「読む」「書く」まで手がまわりません。まったく無視はしていませんが………。

老骨−− うーん,わかる,わかる。そこへもってきて,4技能をバランスよく取り入れるなんて本当に難しいですね。いっぺんにやろうとしてもそれは絶対に無理です。でも言わせてもらうと,今の生徒は読むのが下手ですね。日本語の文章でも下手なんだから英語科だけの責任ではないと思いますけど。これはやっぱり「読む」訓練が足りないのだとー。

若先生−− でも「読み」に時間をかけているとほかのことが何にもできなくなっちゃうんです。だから訓練というか練習が足りないのは確かだけど,しょうがない面もあるんですね。悩みは大きいです。どうすればいいですか。スーパー解決法ってありますか?

老骨−− うーん(よく,うなりますねー)スーパー解決法ね。ある。

若先生−− えっ,あるんですか?

老骨−− ある,と言えばある。ない,と言えばない。

若先生−− 何ですか。それ。禅問答?
     
老骨−− いやいや,理屈ばかり言ってもラチがあかないから小生の拙い経験をお話ししましょう。

 私は週3時間の時代と4時間時代の両方を経験しましたが,毎時間必ず「読み」の時間を取り入れました。他の領域に重点をおいた授業の時でもです。最低5分。「読む」領域に重点をおいた授業では20分とか30分位取りました。

  1.  教師の範読 → テープを聞く → 範読 → chorus reading → individual reading (ずいぶん古めかしいやり方ですね−と言われそうだけど,これは基本中の基本なのです。各地の研究授業ではどういうわけか,これは人気がなくなりましたね。)
  2.  順序はどうでも基本は教えるべきだと思います。(テープが先でもいいし,最後でもいいし,それは実態に応じて)やれば5分でできます。これが積もり積もって,読む力がついてくるのだと思います。まさに3年間を見通した指導ですね。
  3.  さらに「読み」に興味と関心を抱かせるため,Let's readを使って徹底的に「読み」を深める。その後,本文の一番気に入ったセクションを生徒一人ひとりが各自のテープに吹き込む。−−ここまでは普通なのですが,ここからがミソ!各自好きな音楽をテープの前後に入れさせるのです。ポピュラーミュージックあり,クラシックあり,演歌ありで何でもあり,なのです。40人いると40通りの音楽が楽しめるのです。もちろん本文と何らかの関係がある音楽を使うことが条件です。録音は自宅か学校の放送室を使います。2,3人ずつグループでワイワイ言いながら楽しんでやります。読みのチェックも友だち同士で仲良くやっています。
  4.  曲の選定では,生徒はみんな考えます。思考力を存分に発揮させます。なぜかと言うとクラス全員の前で聞いてもらうからです。そして本文の読みと曲の選定についてのコメントももらうわけです。いわゆる生徒同士の評価です。
  5.  でもこのような授業は年に1回がやっとです。学年末,教科書が少し早く終わった時がちょうどいいタイミングです。プリントの余りなどやらせるよりも,よほど生徒は喜びます。学年末ではなくても,長期休暇の前などでもできます。若先生!トライしてみてはいかがですか?

1つ前のページへ

後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

フ〜ンコラム バックナンバー (第1回〜)

ご質問がございましたらニュークラウン指導相談ダイヤル(03-3230-9235 受付時間 月・火・木曜日 10:00 〜 16:00)へどうぞ。 メールの場合は「問い合わせフォーム」へ


1つ前のページへこのページのトップへ

 
英語教育インフォメーション
英語教育コラム
英語教育リレーコラム
フーンコラム

小学校英語活動コラム 英語教育関連書籍
三省堂辞典一覧:英語新しいウィンドウに表示
幼児・小学
教室・教師向け
研究会情報
小学校英語活動
中学校英語教科書 ニュークラウン
高等学校英語教科書