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フーンコラム 第12回 後関正明

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少人数クラスになってはみたものの…その2

 少人数指導について前回いろいろ述べたところ,さらに問題点を指摘するご意見をいただきました。

Q 少人数学級は生徒にとってはかなりの利点があり,中でも長いことわが国の学校教育のアキレス腱と言われてきた1クラス当たりの生徒数の多さの問題を少しは解決したものと思っています。…が,教師側にとってみれば,問題がいくつか発生しています。

A …と言いますと,こうですか? つまり生徒側にとってプラスになることはわかっているのですが,教師側にはマイナス材料がある。すなわち,生徒にとっては「光」なのですが,教師には「影」の部分がつきまとう…ということですね。

Q そうです。ただ,教師側の「影」の部分も分析すればいろいろあって,教師自身が努力して解決できる問題と,教師たちがいくら頑張ってもらちがあかない問題があると思っています。

A 私もそう思います。ですから,教師が今までの実践してきた結果を総括してみて,指導法で何か工夫が足りなかったとか,ここをもう少し改善したらもっと効率のいい授業ができたとかいう問題もあると思います。その一方で,英語科の教師だけがいくら頑張ってもどうにもならない点,これは複雑な時間割編成もさることながら,その前に,例えば1年生から少人数学級を実施することの功罪なんかも検証する必要があります。
Q 予算が取れたからと言って,突然,少人数学級を作れと言われても…。一応,対応はしていますが,私は先生がたった今おっしゃった1年生からの少人数学級を経験し,ちょっと自信をなくしました。

A …とおっしゃいますと?

Q 入学したばかりの1年生は,どんな方法であれ,クラスが分割されるのをとても不安視します。私のところは1クラス30人ですが,1クラス全員で,みんなで元気よく勉強する方が安心感を覚えるのです。そういう雰囲気ですから,2学期から習熟度別に分けてやったとしても,何か満たされない気分が残るのです。生徒にも私にも。そして,さらに私なりにその理由を考えたのですが,クラスを分割すると,私の担任のクラスの生徒でも教えられない生徒が出てきてしまうために,満たされない気分が残るのだと思います。生徒から見れば私から教わりたいと思っていても,それができないわけですから,生徒は不満は言いませんが,「どうして?」といぶかる声も聞こえてくるというわけです。

A 確かに,担任をしていて自分の学級の生徒を教えられないのは不自然ですよね。保護者との個人面談でどう説明責任を果たすのか…。でも,それは担当の教師が頻繁に変わるということで解決できませんか。

Q 機械的に月に1回とか担当を変えても何となく落ち着きがなくなって…。

A どっちに?

Q 両方に,です。ですから,全学年いっぺんに少人数学級でやれと言われても困るんです。担当教師の組み合わせとか,外国人講師の持ち時間,場所や教材・教具のやりくりなど,いろいろあって,それに評価問題が絡んできたらもうお手上げです。どうすればいいでしょうか。

A 1年生の問題は学年会や職員会議でよく話し合って妥当な結論が出たら校長先生にわかってもらうことですね。本当に生徒のためになるのであれば,必ず理解してくれると思います。また,評価の問題は担当の先生方で話し合って評価規準を決めて−これも時間のかかる仕事ですが−できる範囲でやってみることですね。本当に「できる範囲」でいいと思います。つまり,「Aがいくつで,Bがいくつだから数値はこうなる」と数値だけいじくりまわすのではなく,要は生徒本人や保護者に聞かれた時にきちんと納得のいく説明ができるように,ふだんから資料を用意しておくことが大切です。資料といっても決しておおげさなものではなく,教務手帳のほかにノート1冊あればいいのです。今はやりの言葉で言えば,accountabilityの問題ですね。

Q よくわかったような気がします。とりあえず頑張ってみます。ありがとうございました。

A はい。もちろん,まだまだ解決しなくてはならない問題もたくさんありますが,とにかくできるところから少しずつ始めなくてはなりません。長年の我々の要望だった「クラスサイズを小さく」が徐々に実現しつつあるのですから,これをどういうふうにして効率化するかという課題は,今,過渡期にあるのかもしれません。お互いにがんばりましょう。では,また!!

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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