フーンコラム 第24回 後関正明

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Writingの力を伸ばすには

 最近,S区のある先生から生徒のWritingの力が思うようにつかないので困っているという手紙をいただきました。「今,3年生を教えていて,この先,高校入試をひかえています。どのように指導すれば効果が上がりますか。特に,短期間でWritingの力を伸ばすいい方法はないですか。」という質問内容でした。

A とおっしゃいますと,入試を見据えて「短期決戦」で何とか乗り切ろうというわけですね?
 
Q そうですね。「秋季実力養成講座」と名付けて指導をし,結構,力を入れたのですが,テストの結果は,全然,駄目でした。今,NEW CROWN 3のLET’S WRITE 2に入ったところで,「招き猫」の作文を基礎にP. 43の「関連表現」や私の用意した資料を使って,自分が紹介したいものを書かせました。しかし,そこで習った表現を実際に生徒自身の身につけさせるのに苦労をしています。
 
A 問題はそこです。ただ書きっぱなし,発表しっぱなしでは,折角やったことがその場限りのものになってしまい,少しも身に付きませんよね。それをどう定着させるかが先生の腕の見せ所です。例えば,ここでは,「書く」「読む」を主体に授業を進めるわけですから,まず,生徒が書いた作文を添削します。そして,添削後の英文を各自のノートに5回,書かせ,机間指導で正しく書けているかどうかを確認します。さらに,ペアで読み合わせをさせます。これも各自,交互に5回です。ここまでくると,かなり定着します。時間はそれほどかかりません。あとは何人かにペアで発表させます。これができたら,P. 43のWRITING PLUSは比較的スムーズに進められます。ただし,そこでもまた時間を少しとって,できた作文を2回,できれば,3回,4回と書かせ,さらにペアを変えて読み合わせをさせます。
 
Q ずいぶん書かせたり,読ませたりするんですね。
A そうです。そこが私の強調したいところなんです。私は,Writingの力をつけるための「特効薬」なんてないと思っています。
 
Q でも,生徒は飽きませんか。同じことの繰り返しでは飽きると思いますし,そういうことは意味がないという人もいますね。
 
A 私は意味がないとは思いません。「同じ事を書いたり,読んだり」は「基本」の定着として,大いに意味があると思っています。それに,LET’S WRITE 2は,生徒自身の創作ですから,喜んで,積極的にActivityに参加する生徒も多いと思いますよ。確かに,何回書けとか,何回読めという指導は,ある程度は強制になります。でも,基本中の基本は,強制的にやらせないと身に付かないものですよね。
 そして,さらに言えば,私は,英文を何回も書かせたり,何回も読ませたりするからといって,生徒が授業に飽きるとは限らないと思います。生徒が飽きるか飽きないかは,授業をいかに英語モードに切り替えていくかということと,そのような授業が1年時から習慣化できているかどうかにかかっていると思うのです。
 
Q そうすると,結局は,Writingの力を伸ばすにしても,早い段階から英語モードの授業をし,習慣づけをすることで,授業に飽きさせず,基本を定着させていくことが重要なんですね。
 
A そうですね。例えば,Classroom English,いわゆるTeacher Talkにしても,具体的には,1年生の早い段階から始めれば,3年時には習慣化しますよね。その時点までいけば,Listening能力はかなり上達し,英語の授業を飽きずに,楽しんで受ける生徒も増えることと思います。来年は,1年生を教えて,是非,実行してみてください。
 
Q はい。是非,実行したいと思います。ところで,現状の問題として,今の3年生には,これからどんなことをしていったらよいでしょうか。
 
A 今からでも遅くはないので,生徒が選んだレッスンを使って,先生が英作文問題を作ります。その場合,本文そのものを一文単位で書かせるような問題を基本とし,さらに出来る生徒には,本文の単語を,一部,換えた英作文問題を作ってもよいでしょう。そして,それらを解答させてから,その解答について,「書くこと」と「読むこと」のActivityを交互に繰り返していったらどうでしょうか。相乗効果で,両方ともかなりの力がつくと思います。次の段階では,「書くこと」を「暗写」にまで,高めていければいいですね。それができたらDictationの小テストをして生徒に自信をつけさせるのもいい方法です。そのようにして作文に慣れてくると,示された絵を見て,その状況を作文することができるようになるし,自分の考えを英文で表すこともできるようになってきます。そうすれば,P. 70のLET’S WRITE 3の「思い出いっぱいの私の3年間」は,自信を持ってチャレンジするようになるでしょう。やはり,ここでも大事なのは,「読むことと書くことの『繰り返し』」を重ね,そこで練習した英文を定着させることなんです。
 
Q 分かりました。今からでも遅くはないと励ましていただいたからには,元気を出してやってみようと思います。ありがとうございました。
 
A 頑張ってください。

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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