フーンコラム 第34回 後関正明

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第33回 リズムの指導

 夏休みに入ってすぐ、練馬区のH先生から質問がありました。「5分間テストを授業の初めに行っているのですが、どうもこのごろマンネリ化してきて、どうしようかと悩んでいます」という内容でした。

よくお聞きすると、次のようなことがわかりました。

  1. 2年生の少人数学級を受け持っていて、週1回5分間テストをしている。
     
  2. クラスサイズは16人。
     
  3. ほとんどがディクテーションテストで、教科書のキーセンテンスから出題している。
     
  4. 最近、飽きてきた生徒が多い。初めは16人中10人は満点だったが、現在では満点は3〜4人で、0点(答案が白紙に近い)が半分以上になった。
     
  5. 返却された答案は、綴じてとっておくよう生徒に言っているが、その場でまるめて捨てる生徒が多くなりつつある。
     
  6. 答案用紙を配ると「またかよー」という声があがり、やる気のない生徒に注意すると「俺にかまわずどんどんやってくれ」と言って寝てしまう。
     
  7. 5分間テストの出題内容と同じ問題を中間・期末テストに必ず出すと伝えても、だんだん効き目がなくなってきた。

 H先生は、あまり人に言いたくないようなことまで全部言ってくれました。これだけ聞けば、クラスの様子はだいたい分かります。そこで私は、経験から割り出した提案をいくつか示し、意見も添えてご説明いたしました。

(1) 5分間テストは「毎時間行い、答案はその日のうちに返す」ことを原則とする。

 私は5分間テストを毎時間行いました。毎時間行うと生徒が飽きてくるし、やる気を刺激する効果も薄らいでくるのではないか、という懸念を抱く先生もいらっしゃるかと思います。しかし私の授業では「毎時間」がごく当たり前になっており、生徒はそれが英語学習の「ほんの一部」だと思うようになりました。

 答案の返却は、遅くとも次の英語の時間にしました。午前中にテストを行ったクラスは、帰りの学活時に担任の先生に頼んで返却してもらいました。担任は、自分のクラスの生徒の実態が分かってとてもプラスになると、喜んで協力してくれました。その日のうちに返すとなると採点するのがきついのですが、これが自分のやり方だと自負し、また生徒ができるだけ早く結果を知ることが次へのステップにつながると信じて励んだことを覚えています。教師は、自分が「こうしたい、こうするのがいい」と思うときは、仕事がどんなに忙しいときでも苦にならないものです。部活や演劇、合唱コンクールなどに教師がのめり込むのもそのためですね。特に十数名の少人数クラスなら、採点の負担も比較的軽いのではないでしょうか。

(2) テストの内容は、できるだけバラエティに富んだものにする。

 生徒を飽きさせないように、私はさまざまな種類のテスト(私は「クイズ」と呼んでいました)を工夫しました。ディクテーションのほかに、例えば教師の読んだ英文をすぐに日本語に直してそれを書く問題、またはその逆(日本語→英語)、簡単な整序英作文、あらかじめ3つぐらいの英文を覚えるよう指示しておきそれを書かせる(教師は黙って見ているだけ)、ときには単語だけのテスト(これは自己採点・相互採点ができる)、なども取り混ぜて行いました。これらはすべて筆記テストですが、音読テストも1回に5〜6人なら十分にできます。あらかじめ読むところを決めておくとよくできます。

(3) 必ず前時に習った内容から出題し、しっかり復習すればできるようにする。

 慣れてくると、授業の終わりに5分間テストについての説明をしなくても、生徒はどの範囲から出題されるかが分かってきます。指示をしなくても、キーセンテンスを中心に勉強してくるので、短時間で能率よくテストができます。それに、難しいテストではないと分かっているので、ナーバスになることはありません。また、できれば5分間テストを中間・期末テストと連動させると、さらなる実力アップにつながり、生徒も日々のテスト問題の大切さがだんだん分かってきます。

(4) 5分間テストの結果を評価に結びつける。

 私は5分間テストの結果を記録しておきました。採点は簡単でしたが、記録に結構時間がかかったのを覚えています。しかし今ならパソコンにどんどん打ち込んでいけば、割合簡単に記録できますね。生徒の自己評価とあわせて、形成的評価として活用できます(第1回目のコラム「大相撲の星取表」を参照)。また、この記録をうまく利用すれば、観点別評価のための集計も比較的容易にできると思います。折にふれて生徒に現在までの結果を伝えると励みにもなるし、反省を生かすこともできるでしょう。そして、教師自身の授業の軌道修正や問題点の発見にもつなげられると思います。

 生徒を飽きさせないこと、あまりナーバスにさせないこと、何のためのテストかをはっきり示すこと、常に励ましほめること、継続することで力が蓄えられていくのを実感させること。これらを念頭に実践に励み、教師自らがテストを通じてフィードバックを得ながら、次の授業の構築を考えることが大切です。「たかが5分間テスト、されど5分間テスト」ですね。さあ、新学期から頑張ってやってみてください。いつでも応援します。

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

フ〜ンコラムバックナンバー (第1回〜33回)

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