フーンコラム 第37回 後関正明

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第37回 スピーチの指導―将来の職業についてのスピーチ

 今月は前回の「一言多いと上達が速い・その1」の続きを書く予定でしたが,福岡県の先生から急ぎの質問が来たので,そのことについて書いてみようと思います。質問の趣旨は次の通りです。

 「NEW CROWN 2年 LESSON 5 Speech ─ ‘My Dream’の学習時に,かねてから考えていた,生徒一人ひとりに自分の‘My Dream’についてスピーチをさせようかと思っているのですが,具体的にどのように指導していけばいいのか教えてください」というものでした。そこで回答に若干付け加え,ここで改めて述べてみたいと思います。

質問 このレッスンの言語活動の領域はなんでしょうか。
 
答え ここはスピーチのレッスンなので,主になる領域はスピーキングだと考えられますが,他の3領域も大いに関係があります。これはどのレッスンも同じですが,まずリスニングの活動がありますね。つまり正確に聞き取り,その内容について正しく理解するということです。特に「不定詞」を含む文の理解が大切です。次にリーディングですが,テキスト本文の音読です。正しく読んでその内容についてきちんと読み取ることができるということです。自分がテキストに書いてある文の主人公になったつもりで音読するわけですが,できれば暗誦までいければ申し分ありません。暗誦までいければもうスピーキングの領域に一歩入っていると考えてもいいのですが,あとに大きな課題が控えていますので先に次の領域にいきます。それはライティングですね。本文からまず自分の好きな文を抜き出して正しく書くこと――これが基本です。次に本文の不定詞などを活用しながら自分の文章を書くのですが,ここが質問のポイントなのでこのあと,ご説明いたします。このように1つのレッスンでも,言語活動の取り組み方はすべての領域にわたっています。でもすべてを均等に扱うことはとうてい無理ですから言語材料や題材などを考慮しながら,どの領域に重点を置くかを考えていけばいいと思います。
 
質問 授業内容の流れはよくわかりました。それでは,スピーキング指導は具体的にどんな順序で行えばいいのですか。
 
答え

それでは順を追って説明しましょう。

1 LESSON 5の指導を一通り終えたあと,クラスを男女2人ずつの4人グループに分け,その中で各自に将来の夢について自由に話をさせます(brainstormingの手法)。このブレインストーミングをしている間に,友だちのことについても知るようになります。すなわち,どんな人になりたいのか,どんな職業のことを考えているのかなどがわかってきます。引っ込み思案の生徒も自由に話ができるように,机間指導中に教師が気を配り助言します。話し合いの中での新しい発見がまた自分のモチベーションを高めることになります。
 
2 授業の後半で教師がスピーチの基本を教えます。(教科書のTMを参照してください。)
 
3 教師がスピーチの草稿の書き方を教えるとき,将来の夢,または職業が決まっていないときは,「仮定の話としての夢や職業でよい」と教えるのがコツです。つまり「空想」でもよいとすると生徒のプレッシャーはかなり減ります。
 
4 例えば,「総理大臣になりたい」と思ってもなれないかもしれませんが,それでもなるためにはどんな努力をしようとするのか,何のためになるのか,なったら何をするのか等についての考えをまとめさせます。
 
5 考えがまとまってきたら実際にノートに書かせます。その際初めから英語で書くのが望ましいのですが,生徒の実態に応じて日本語を交ぜてもよしとします。こうすると生徒の負担はかなり減ります。
 
6 LESSON 5の言語材料は「不定詞」ですが,この文法事項はなるべく活用させてください。できる生徒にはどんどん使わせていいと思います。また和英辞書を使わせてもいいですがあまりそれにこだわらないように指導します。
 
7 教師の添削も最小限にとどめます。教育上好ましくないものには教師の適切な指導が必要ですが,それ以外はたとえ稚拙なものでもなるべく褒めて,元の案を生かすようにします。
 
8 この指導はそれなりの時間と教師の労力を必要としますが,生徒の関心・意欲を呼び起こし,それを持続させるのにかなり効果的だと思われます。
 
9 ノートに書けたら,教師が工夫をして色の付いた用紙を配って清書をさせると生徒は喜んで作業をします。
 
10 さて,皆の前での発表ですが,発表しやすい雰囲気を教師がそれぞれ個性を生かして作ってください。教卓に模造紙を張ってスピーチ用のテーブルにするとか,また仮のマイクなどを置くだけで雰囲気が出るものです。

 ライティングの指導では,生徒にただ「書きなさい」と言っても書けるものではありません。そこで,ある程度時間をかけて作業の道筋を教師がつけてあげることが必要です。さあ,頑張ってやってみてください。応援します。


*大人の世界の入り口にいる中学生に様々な職業を紹介した『13歳のハローワーク』(村上龍著,幻冬社)は参考になります。

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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