フーンコラム 第41回 後関正明

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第41回 「後置修飾をしっかり定着させるには」

 都下N市のO先生から次のようなご質問をいただきました。

O先生: つい先日,3年生が卒業していきましたが,私は3年生で最も難しい文法項目の一つだと思っているNEW CROWN 3年LESSON 5の現在分詞や過去分詞の後置修飾が、今思い返してみて生徒にきちんと教えられたかどうか,生徒が本当によくわかり用法などが身についたかどうか,ちょっと心配になりました。その指導が気がかりで,次に教えるときにはもっといい方法があるのではないかと模索しています。生徒がたちまち納得するような方法を教えていただければ幸いです。
 
私: LESSON 5の文型・文法の導入はどうされましたか。
 
O先生: TMに出ているような導入をしてみました。つまり既習のa book on the desk とか,some boys in the schoolyardなどを用いながらセクション1の現在分詞の導入を図りました。
 
私: 何かteaching materialsを使いましたか。
 
O先生: はい。句と文を書いた模造紙を細長く切り,以下のように張り出しました。文は短いものから長めの文へと変化をつけました。

1. the boys in the schoolyard

2. Look at the boys in the schoolyard.

3. Look at the boys playing soccer in the schoolyard.

4. The boys playing soccer in the schoolyard are my friends.

2番の文では,boysとinの間に,3番の文にあるplaying soccerの2語が入るスペースをとるため,in the schoolyardが左右へずれる工夫をしました。またplaying soccerの下に赤の細いテープを張りました。そしてその部分をmaskingすると3番の文が2番の文と同じになることを全員に確認させました。
 

私: それで文型・文法の導入が終わってからセクション1の内容を説明されたのですね。
 
O先生: いいえ,私はセクション1の導入の際にモンゴルについてoral introductionを行い,Now listen to Ken’s speech.で本文に入りました。そこで,時折日本語を交えながら英語で内容の説明をしました。その説明の流れの中でさりげなくhorses running in racesとかpeople wrestling in 〜などの意味を教えたのです。
 
私: そうすると内容理解が先で文型・文法は後だったというわけですね。
 
O先生: そうです。でもその方法ではだめでしょうか。
 
私: いやそんなことはありません。私も先生とほぼ同じでしたよ。今回のケースのように,本文をやってから文型・文法に入る方法と,またその逆の順番でやる方法の両方があると思います。このLESSON 5のようなレッスンでは,「初めに本文ありき」で,文型・文法は本文を理解した上で,「さっき皆が一人ひとり言えたあの文,horses running in racesとかpeople wrestling in 〜の文は実はこうなんです」と言って,O先生が作ったような教材を示しました。それからクラス全員一人ひとりに少なくとも4〜5回は当てて暗誦させました。そこで文型・文法が理解できた雰囲気になったとき,再び本文の後置修飾に戻り復習的にまた一人ひとりに言わせたわけです。もちろんその間にはchorus読み,列ごとのgroup読み,ペアでの交互読みなど,同じ読みでも生徒に飽きがこないような工夫をしました。この一連の学習活動はパタンプラクティスそのものだと思いますが,このように文型の基本が身につくと,5課の題材のようなスピーチの原稿も一応書けるし,さんざん口頭練習をしたのでreading,speakingの領域でも結構力を発揮しました。
 
O先生: そこまで徹底して教え込めば生徒の理解もほぼ完全でしょうね。そうしますと私の指導法でどこか抜けているところがあったと思うのですが…。
 
私: そうですね。基本的には先生の方法でいいと思いますが,お話だけで判断すると,せっかく基本文をいくつも黒板に張って後置修飾の説明をしても,あとの口頭での文型練習が少ないと生徒の身につかないと思います。その練習は1回や2回ではだめで,chorus,group,pair,個人のそれぞれの読みを織り交ぜて飽きるくらい,しかも大きな声でさせることが必要です。それから,同じ文型の例文や練習問題はどうしましたか。
 
O先生: 特に扱いませんでした。時間がなかったのです。なにしろ行事などで授業がつぶれるものですから,まごまごしていると教科書が終わりません。とにかく先を急がなければなりません。
 
私: 時間がないというのは小生のときも同じです。その少ない時間をどうやりくりしていかに効率よく使うかがポイントですね。
 
O先生: そのポイントを教えてください。
 
私:

私は補助教材として例文を作り,練習問題も平易なものから難解なものまでとりまぜてプリントにしてそれを宿題にしました。答え合わせは解答のプリントを配布して,自己採点させたり,隣との相互採点をさせたこともあります。

日本語に直しなさい。
1. The man standing over there is Mr. Brown.
2. The girl dancing in the room is Miki-chan.
3. Do you know the boys playing baseball in the park?
4. Who is that girl crying in the classroom?

1と2は目的語を伴わない現在分詞で,これはセクション1の本文と同じ文型になります。しかし3と4は目的語が付いていますが生徒は後置修飾をのみ込めばこれもすぐ理解します。このように例文をできるだけ沢山与えることが大切です。そしてもう一つ大切な視点は,「現在分詞」という文法用語を使わない方がいいということです。ましてや「後置修飾」などと板書することは厳禁ですね。
 

O先生: では文法の説明で何といって教えればいいのですか。
 
私: 私は単に進行形の形と同じ,と説明しただけです。ただしLESSON 5すべてを終えてからの総まとめのときには「実はこれを現在分詞といいます」と教えました。
 
O先生: ということは,先に文法用語を教えてはいけないということですね。
 
私: そうですね。「文法」といわれて喜ぶ生徒はめったにいません。英語に親しみを持たせ,例文や本文中のポイントの文をすいすい暗記させることの方が先決です。
 
O先生: わかりました。では過去分詞の後置修飾はどんな導入の方法がいいでしょうか。
 
私:

これも現在分詞の導入と基本は同じです。ただ,過去分詞は現在分詞と異なって受け身的に考えるという点で少し厄介です。でも過去分詞は受け身形を作るときに用いたことを思い起こさせれば割合早くのみ込めると思います。このときも私はプリントを使い,基礎から発展へと例文や問題を広げました。

問題
次の文中の( )内に{ }内の語のうち正しいと思うものを書き入れ,全文を日本語に直しなさい。

1. Amy has a watch (    ) in China. { make, making, made }
2. I’ll show you the pictures (    ) by my father. { take, took, taken }
3. Do you know the language (    ) in Iraq? { speak, spoke, spoken }

このほかにも類似問題(易から難へ)を10題ぐらい宿題として出します。忙しいので採点しやすいような問題を考えて作成します。
 

O先生: よくわかりました。今年度は後置修飾だけでなく,全体を通じて教えられた指導法を基本にすえて授業を進めてみたいと思います。
 
私: 私がこれまで述べてきたことは別に目新しいものではありません。ただ臨機応変にバラエティに富んだ方法を基本の上に組み立てることが大切だと思います。
 
O先生: ありがとうございました。


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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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