フーンコラム 第54回 後関正明

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第54回 授業に活かせる教材研究をするには

 先日,授業研究の会合で小生の隣に座った新採2年目のT先生から「教材研究はどのようにしたら効果的でしょうか」とのご質問をうけました。以下続きの問答です。

私: まず,教科書付属のTM(教師用指導書)をよく読むことは大事ですね。
T先生: そうですね。ただ,TMは必ず読んで参考にしているのですが,何か今ひとつ物足りない感じがするのです。
私: 教室で実際に教えてみて1課終わったあとで,満足感が得られないということですか。
T先生: そうなんです。私は教材研究の仕方が下手なのでしょうか。
私: 下手ということではなく,教材研究と実際の授業とがうまく結びついていないのかもしれません。すなわち,先生が教材を研究したことと生徒の受け取り方との間に少なからずギャップがあるということでしょうね。
T先生: そうかもしれません。時間をかけて教材を研究して授業をおこなっても,生徒の反応がいまいちだったりすることがあるのです。そこで,教材研究の方法がよくないのではないか,と思っているところなのです。
私: そこで,もっといい方法がないかというのがご質問の趣旨ですね。
T先生: そうです。今年は2年生を教えています。
私: わかりました。それでは,NEW CROWNN BOOK 2 LESSON 2“School Web Reports”を例にとって手紙でお答えできればと思います。
T先生: よろしくお願い致します。

【お答えの手紙】
 NEW CROWN BOOK 2 LESSON 2“School Web Reports”には,久美たちがおこなった体験学習の記録や感想が,ホームページ上の文書という形で記されています。ここで,本文を読んだり,訳したり,また,文法項目の「be動詞の過去形」と「過去進行形」を説明しただけでは,面白くもなんともない生徒もいるでしょう。そこで,まず,ホームページのことについても詳しく調べ,それについての説明から始めてみてはいかがでしょうか。さらに,生徒全員がホームページについての知識があるわけではないでしょうから,授業も実際にコンピュータ室でしてみます。今は,どの学校にも20台くらいのパソコンを備えたコンピュータ室がありますね。多くの生徒がパソコンになじみがないとすれば,スイッチの入れ方から教えなくてはなりませんが,先生の説明に従って操作をしていくうちに「インターネット」や「ウェブ」などの用語が情報通信網に関することだということや,ホームページが自己発信の方法の1つだということがわかってくると思います。そして,ホームページ上に,体験学習などの記録や感想を英語で載せることの意義を生徒に理解させます。「ホームページに英語で自分たちの意見を載せることによって,国内だけでなく,海外の人々へと発信できるのですね。いつか自分たちもホームページをつくって,国内や海外の誰かがアクセスしてくれると嬉しいですね」などと生徒に希望を持たせても面白いです。生徒も興味がわいてきます。

 ここでは,次のような生徒との問答が想定されます。

生徒: インターネットって何ですか。
先生: インターネットとは,加入者の間でパソコンをつなぐことで情報交換が出来るようにした通信情報サービスのことです。現在,膨大な情報が,インターネットを通じて世界中を飛び交っています。ですから,世界中の人たちと情報交換ができるのですね。
生徒: ホームページとはよく聞きますが何のことですか。
先生: 「情報が公開されている(ウェブ上の)ページ」(注)という意味で使われることが多いです。そこに接続すれば,私たちはただちに情報が得られます。久美のクラスのホームページでは,久美が和紙工房へ出かけて行き,実際に和紙をつくった体験や感想が情報として得られます。しかも,英語で発信しているので,国内の人に限らず,海外の多くの人が読むことが出来るわけです。

 このような経過をたどってLesson 2に入ると,生徒も単に「体験学習」の内容に興味をひかれたり,文法事項の「be動詞の過去形」や「過去進行形」を学んだりするだけでなく,コンピュータの世界についても垣間見ることになります。これが動機付けになり,この課に興味をもち,積極的にさらに深く勉強する生徒もいると思います。

 教材研究とは,教科書に書いていない部分をどう膨らませるかということであり,言語材料・言語活動・題材内容など,いろいろな側面からのアプローチが可能ですが,今回は,題材を中心に教材研究をした例を考えてみました。この課に限らず,教材研究をおこなう際に,先生が「この部分はもう少し別の観点でも調べて生徒の興味関心をひきつけるようにしよう」などと,さまざまな観点からの情報をもっておくことが大事だと思います。

 私も経験があるのですが,自分で納得のいくまで教材研究をした部分は本当に熱っぽく語れるものです。ときには脱線してしまうこともあるのですが,生徒が「エッ」「ウーン」「そうかぁ」と目を輝かせ,すぐそのあとに「じゃあ,あれはどうなんだろう」と,関連した疑問が浮かんでくればしめたもの。先生としては少々大変な面もありますが,大いに満足ができる瞬間なのではないでしょうか。生徒の目の輝きを期待して頑張ってください。

(注)本来,ホームページといえばウェブサイトに含まれる一連のウェブページのうち,入り口に相当するようなページを意味するのだが,『大辞林』(三省堂)にあるように,ウェブページ一般の意味で使用することも多い。

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

フ〜ンコラムバックナンバー (第1回〜53回)

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