フーンコラム84回(2011年11月号) 後関正明

ピクチャーカードの使い方について

N県のT先生(教師歴3年,男性)からメールをいただきました。内容はピクチャーカードについてのご質問とご意見でした。かなり長いメールでしたので,下記に要点を箇条書きでお示ししましょう。

  • T先生の勤務校にはそれぞれの学年用のピクチャーカードが備えられており,T先生はそれをほぼ毎時間使っている。
  • 使い方は,まず新しいレッスンやセクションに入るときの導入部分で,これから学習する内容や題材についてピクチャーカードを使いながら英語で説明する。
  • 生徒の理解の度合いを見ながら適宜日本語を交ぜている。(英語使用度80%)
  • この導入部分だけで約10分〜15分,多いときは20分費やすことになる。
  • しかし,最近絵と英語の説明に飽きてきた生徒が多くなってきた。以前ほど集中していない気がする。
  • いっそのこと授業の構成を変えてピクチャーカードによる導入を止めてみようか……とも思っている。
  • 何かよい解決法,または指導法はないか。

およそ以上のような内容でした。一生懸命取り組んでおられる姿が目に見えるようですが,一つの壁にぶつかっているようでもあります。私は次のようにお答えしました。

教科書準拠のピクチャーカードは,英語による本文の内容説明のときなど大変役立つものです。理解の遅い生徒でも「集中して聞けば大体のことは分かる」と言っていたのを覚えています。しかし,毎時間同じパターンでピクチャーカードを使えば,生徒たちはそれに飽きてきます。そこで,私が試みたピクチャーカードの活用法を次に示してみます。

@ ピクチャーカードになりうる素材とは

教科書準拠のピクチャーカードを毎時間使ったわけではなく,しばしば自作の略画や漫画,または雑誌の切り抜き,写真,ポスターなどバラェティに富んだ物を使って,生徒を飽きさせないように工夫しました。また,投げ込み教材として使用している英字新聞やテレビのトピックスにちなんだ絵や写真も使いました。このように,いろいろと取り混ぜて使うと教師が自由に場面を設定することができ,説明の内容もより具体的になります。

A 生徒を活用。得意な絵で相乗効果

一方で,私は生徒にもよく絵を描いてもらいました。ある生徒は,英語があまり得意でなく消極的でしたが,絵が上手なので指名したところ快く描いてくれました。その生徒のサイン入りの絵を何度か授業で使いましたが,彼女はこのことをきっかけに成績も良くなり思わぬ成果を得たこともありました。他の生徒もこれに刺激を受けて,絵描きのボランティアが増え,英語への関心・意欲も高まり,教室の中に活気がみなぎったように私は感じました。

B ピクチャーカードを使うタイミング

さて,実際にピクチャーカードを使った活動場面についてですが,ピクチャーカードは導入部分に限らず,その時間内であれば生徒の状況に応じていつ使ってもよいと思っています。T先生の場合,ピクチャーカードを導入,つまり音声による本文の内容理解のために使用しているのですが,それで終わってしまっているので,生徒も飽きてしまうのだと思います。最終的に,そのピクチャーカードを見て,自分が本文を再生することを目標としているならば,生徒も真剣に聞くと思います。

さまざまなカードを使うわけですから,自分で自由に場面設定することもできます。しかし,自由に場面設定ができるといっても,あくまでも教科書と連動していることがポイントです。そのうちの一例としてNEW CROWN, BOOK 1, LESSON 9を取り上げてみましょう。

この課の内容は,英国のイングランドに住んでいるメアリーからの手紙です。セクション1,2では,教科書中にもイングランドの風景などの写真やピーターラビットの絵があります。また,ラトナと健との対話文となっているセクション3では日本の風景写真が載っています。これに加えて生徒たち自身で,題材の内容に関連する海外や日本の自然遺産についての絵・写真などを集めさせ,それらを使ってまず4,5人のグループ内で発表させます。言わば「小プレゼン」です。つまり,自分が集めたものを使ってごく短い説明をすることで自信をつけさせるのです。例え理解が遅い生徒でも小グループですから何とかついていくことができ,ここに小グループの利点があります。(この間,教師は机間支援をします。)

C 「小プレゼン」から4技能をいかした「プレゼンテーション」へ

「小プレゼン」の次は,その要領をいかしつつ,今度はグループの代表に皆の前で少し長めのプレゼンをさせます。このプレゼンはできるようになるまで時間がかかりますが,4技能の言語活動の内容がぎっしり詰まっています。すなわち,まずプレゼンの原稿を“書く”ことになり,それを何度も“読む”練習をします。次に,皆の前で“話し”ます。そして他の生徒は集中して“聞き”ます。さらに話し終わったところで,他の生徒からの英語での“質問”に,英語で“答える”ことができれば最高の言語活動になると思います。
この課の言語材料は「過去形」ですが,先生の teacher talk などで少し慣れ始める時期なので過去形での質問もし易いでしょう。

D ピクチャーカードの尽きない利用術

もう一つ,ピクチャーカードを使った活動で生徒の人気が高かったのは,数枚の絵を黒板に貼り,先生のプレゼンがどの絵を指しているのかを当てるゲームです。これなどは導入時にも使えて生徒が飽きることはないと思います。また教師役を生徒にさせて,説明した絵を今度は先生に当てさせるというパターンも,間違いや笑いが出てクラスが盛り上がります。

このように一枚の絵や写真は,使い方によって生徒の学びのエネルギーを引き出し,学習への興味を増す動機付けともなります。ピクチャーカードはもちろん,その辺にある物はなんでも教材にするつもりで掘り起こしてみてください。

(『こんな物でも立派な教材その1〜4』[フーンコラム第2・3・4・6回]参照)
第2回 その1  (2003/12/24)
第3回 その2  (2004/1/16)
第4回 その3  (2004/2/16)
第6回 その4  (2004/4/28)

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より國學院大学で教職課程履修の学生を教えている。

フ〜ンコラムバックナンバー (第1回〜83回)

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